電子名札開発での異常な努力 または私は如何にして心配するのを止めて『謎ガジェット』を作るようになったか

こんにちは、buildersconスタッフの石田ことuzullaです。

みなさんbuildersconのチケットは買いましたか?まだですか?まだなら今すぐチェック!!

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ただちょっとまって!普通に買えるチケットって一般とサポーターがありますよね?

今日はサポーターチケットについてくる「謎ガジェット」こと「電子名札」についてご紹介しますので、ぜひサポーターチケット購入もご検討ください!

電子名札とは?

こちらです!

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Eペーパーとラズパイを用いて、ローパワーにアズユーライクなインフォメーションをモバイルにディスプレイできる、ネクストジェネレーション名札ガジェットです!

(先日のMaker Faire Tokyo 2018で実際に活用している様子です)

箇条書きしますと

  • raspberry pi zero whと電子ペーパーとバッテリーがついているMDFの板
  • スライドショーサンプルコードが入っているので、microSD内の画像をさしかえると変えられる
  • 名札としてつかえる形状、昨年度しゃもじのように懇親会で活躍する!(はず)
  • Cとか書かなくても(サンプルは簡素なPythonです)表示できる
  • 当然Wifiもついているので、工夫次第で当日からドヤれる
  • ご自宅でも、電子ペーパー付きLinuxとしてご利用いただける

という物になっております!

「だからサポーターチケットが高いのでは…」と思われる方もいるかもしれません。(チケットの価格感は十人十色ですが)「サポートしたいのであって、オマケがほしいわけではない」というお声も(本当に)いただきます。

だが!そうではないのです!このガジェットによるコスト増はメルカリ様の強力な協賛によってまかなわれているのです!

そして今回、ついに電子名札の量産前試作が完成し、強力に応援していただいたメルカリ様に実機をお見せして一言で言えば「いいね!」というレスポンスをいただけましたので、電子名札の経緯とご紹介をいたします!

私の欲望

海外のカンファレンスだと、「バッジ」などとよばれるサムシング素敵なものを首から下げているのを(ネットで)見たことがあります。

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こういうのです

「こういうの凄いかっこいい!日本でもでてこないかな!」と思っていましたが、やはり国内の規模やチケット相場では予算が突然増えるようなことがないかぎり実現は困難にみえました*1

そもそも、技術的には(数年前まで)以下のような課題がありました。

  • 配れるコストの「バッジ」にするにはマイコンにしないといけない。
  • PCBつくるのが凄い大変(私の、スタッフボランティア活動で可能な範囲でやらないといけないので)
  • いくらプログラマブルでも(主要な客層に馴染みの薄い)Cとかで書くしかない、コンパイル環境がいるし、OSがないとハードルがあがる。
  • (普通の)Arduino等は非力で、ほぼネットにつなげない。
  • 液晶ディスプレイはバッテリーがもたない、LEDはありきたり。

ということで「今は時期が悪い」等と考え、長いこと寝かしていたのです。

ネクストしゃもじ」

ところで去年、ビルコンでは「しゃもじ」をサポーター特典につけました。当初「こんなの何につかうんだ?」と思われましたが、人々のコミュニケーションをサポートするグッズとしてなかなか評判がよいものでした。

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ただ、自分にそぐわないしゃもじを引いた時にどうすればよいか(しゃもじはそれも含めて楽しむ設計でしたが)という事があり、「自分で好きな情報をドンと入れたいよなあ…」とも思いました。

ついでに言えば、実際にやってみてわかった事として、両手の塞がる懇親会ではどこにしゃもじをホールドしておくべきかの問題もあったのです。カバンにさしたり、首からむりやりさげるなどの様子をみていました。

契機

そんなこんなで少し前、Raspberry pi zero(やw)というフリスクサイズの極小PC(Linuxが動く)で私は色々と遊んでいました。触るうちに「小さくて軽いし、Linux動くし、バッテリーで動くし、何より安い。これでなにかいけそうだな?」という漠然とした感想を感じていました。ただ当時はまだ仕入れの課題がありました。売り切ればかりだし、一人一個の販売制限も多くの所でかかっていたのです。

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(インスタに直接投稿できる、不審物感の高いデジカメ)

それが昨年 zero wh が登場し、(値段は上がったが)入手しやすくなりました(はんだ付けも不要だ!)。にわかに現実性がたかまったのです!

「これでなにかしゃもじ的なものがつくれるのではないか?憧れのバッジがつくれるのではないか?」そう思い至ったのは自然なことでした。

私はググりはじめました

CPU部分が決まったので、私は色々な「ディスプレイになるもの」を探し始めました。

LEDアレイやLCDなども一通りみたのですが、なかなか価格が厳しくバッテリーへの要求も厳しいものがありました。

そんな折、ふと小型の電子ペーパーのHATを知り、試しに頼んでみた所

  • 省電力!
  • バッテリーがきれても表示はのこる!
  • プログラムも簡単!

であることがわかり、「これは非常に面白い、つかってみたい!」となったわけです。

とはいえ、ラズパイと電子ペーパーは高いです。普通のノベルティとくらべると原価がパないです。サポーター(旧称、個人スポンサー)にしぼって考えましたがそれでも全然たりない。しゃもじとは違う!

それでもとりあえず概算見積もりをつくり(振り返れば本当にひどい希望的概算だった)、デモ機をつくり、友人にみせて感想をもらい、ビルコンのスタッフミーティング等で主宰のlestrratさん(カンファレンス金勘定に定評がある)に熱意と真摯な姿勢をもって酒をいれながら見せることで無事スポンサーメニューに掲載する所までは説得でき、自分でも営業しながら「協賛してくれる企業様」が現れるの待ちました。

前進

すると、ついに何社かからお返事があり、その中でもメルカリ様が実際に手をあげてくれたわけです!この時はアガりました!

なぜこの変わった取り組みにメルカリ様が協賛していただけたのか、実機をメルカリ七島さん( @jollyjoester )にご紹介しつつお聞きしたところ、

「技術者が集まる場で面白いことが起こっていてほしいし、面白い事を起こしたい。 我々はその場で『パワー』を得て、また新しい物を作り出していく。 これはメルカリに限らず日本の業界も応援していきたい。 その為にも、今回この『変わった取り組み』も応援しました」

といただき、大変にありがたく感じたと同時に「よし!俺のできることをやってやるぞ!」と思いを新たにしたのです。

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迷走

とはいえ予算がでれば終わりではありません。当たり前なんですけど金が目的ではなのであくまでここが始まりです、あとは全部自分でやらないといけない。現実的になったということで、改めて様々なテストをおこなってみましたが、根本的に「画面が小さい」という課題にぶつかります。

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「なんでそれ気づかなかったんだ…」と言われれば…いや、こういう「ひみつけいかく」はあんまり人に意見が聞けないものですからしかたない…(言い訳では)。

色々ごまかす言い訳をかんがえましたが、どうにも無理があります。あきらめて「もっとでかい画面にしたい!(金がもっと必要!)」という土下座、あるいは開き直りにいたり、牧さんやメルカリ様には改めてお願いをさせていただき、快くOKをいただきました!(軽々しく1行にしてしまった…)

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本当にメルカリ様はすごい。そして俺は甘い(色々勉強になりました)。

他にも制作時には紆余曲折はあったのですが

例えば他のeペーパーも試しに買ってみたりはしたのですが、そこらへんの「勉強になった事」は長くなるので割愛します。

f:id:uzulla:20180806232330p:plain (たとえばこれは7インチ)

(もし本当に興味のある方は、以下のトークでそこらへんを話す予定なので、ぜひ聞きに来てください! builderscon.io 決して「ここで全部に話すと話す事がなくなるから」という出し惜しみではない)

とにかく、頑張った結果、ほぼ全部の部材が到着し、「本当に実現できるのか」に悩む時期はおわりました。

f:id:uzulla:20180806231717p:plain (たとえばネジ一つも大変でした。一つじゃなくて数千個ですが)

あとは物理で組んで、サンプルコードをもっと組んで、当日配布するだけ(慢心)で皆さんに提供できる!…ということで、ついにこの記事で具体的な宣伝をしております!

f:id:uzulla:20180806231006p:plain (もうひとりの電子名札制作コアスタッフ、マコピーこと id:mackee_w との試作の様子)

名札としてのポテンシャル

サンプルプログラムとして、好きな画像をスライドショーできるプログラムをつけますので、カンファレンス中からお好きな画像を設定して表示する事が可能です。

ぜひ面白い名言や好きなエディタ名などを胸元に表示して、次世代しゃもじとして懇親会などのコミュニケーションを楽しんでください!

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(あるいは、面白い画像をつくって広めるのもよいでしょう)

また、何度も言いますがれっきとしたLinuxが動きますので皆様も手軽に色々やれるということです。それが名札サイズになっており(名札のサンプルプログラムで、バッテリーが満充電状態なら)6時間以上動作します!

勿論当日だけじゃない

これは当初から重要だと考えていた事ですが、デスクトップコンパニオンとしてもつかえるようにと思っています。

穴に棒をさせば横に自立しますし、電子ペーパーがついたLinux boxとして、様々な利用法をかんがえてみていただければと思います。

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安易に天気表示とかもできます。Web APIをキックしてjson内容を適当に描画するだけなので10分でできます!*2 (といいつつ、フォントサイズ調整をまだつくってないので「晴のち曇り」が「晴の」になっている)

GPIOもだいぶ空いていますので、LEDをつけたり、ボタンをつけたりもできるでしょう。 (会期中からやれば、ドヤりポイントもふえそうです)

Raspberry pi zero whですから、ご自宅のWifiにも接続ができますので、工夫次第で面白いことができるはずです。

ぜひ色々遊んでみてもらえればと思います!

未来へ…

このような面白い(主観)取り組みが当たり、ビルコンに限らず海外のかっこいいバッジみたいな謎ガジェットを作るところが増えればな…と願っています!

これがツイートとかされたり、インスタにあがったりブログにのぼったりすると「なるほど、これに予算だそうかな?」って思う人や企業様が増えるはずです。 (突然現実的な話になっちゃいましたが、しかし個人の自腹には切れる限度(あるいは収入と家族がキレない限度)があり、様々な予算は重要です)

とにかく好評(になり、それが話題になれば)なら、きっと他の所もつくってくれるはず(??)!!

俺はもっと謎なガジェットがでてほしい!その一心です!皆様の活用とご報告をお待ちしております!!さしあたっては入手してくれ!!

で、入手は?

そうですよね、サポーターチケットです!以下からぜひ!

www.eventbrite.com

サコッシュ(こちらも結構いいものです)もついてきます!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/u/uzulla/20180624/20180624184603.png

電子名札関係なく「buildersconをもうちょっと追加で応援したい!」という方はぜひともご検討ください!

現状まだ在庫はございます。しかし、だいぶ売れております(矛盾する一行)。

どこまで書いていいのかわからないのですが、3/4くらいは売れました。そして引き続き売れています。

在庫切れになる前にぜひ!(なお、8/17がチケット販売終了予定です)

こちらからは以上です!

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*1:ビルコンを含む、いくつかのボランティアベースのテックカンファレンスにコアスタッフで参加、あるいは主宰もしている個人の感想です

*2:これがマイコンだと厳しい。TLS駄目だったりJSONパースするパワーがなかったり